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ようやっと続きが書けたよー
今回はちょっと長くなりそうなので前後編だよ(=゚ω゚)ノ
ガーディアンズコロニー
その中心地、クライズシティの地階、セントラルテーブルには、中央の噴水を囲むように、いくつかのカフェテラスがある。
人々の憩いの場、待ち合わせの目印等、常に人の往来が絶えないこの区画はまた、飲食業界屈指の激戦区でもあった。
客を呼び寄せるため、研鑽を惜しまず企業努力を続けた結果、手ごろな価格で優雅な昼食、ティータイムが楽しめる「おいしい」エリアであった。
「各惑星の名物料理が勢ぞろい」が売りのレストラン「食の現人神」の屋外席で、ソードとコウセイが昼食をとっている。
あっさり風味が人気のニューデイズセットAを黙々と食べるコウセイ。
対するソードは、元気の素!と主にビーストに絶大な支持を集めるスパイシアセットを食べながらも、時々顔をしかめていた。
「っ痛つ・・・口の中が切れてるから口の中が痛い」
「そんなに辛いものを頼むからだ。まだ痛むのか」
昨晩の翠泉に受けた鞭打ちのせいで、ソードの顔には縦横無尽にミミズ腫れが走り、遠目から顔を判別することすら困難な状態になっていた。
口の中も切れていたらしく、発見された時は口から血を流していて、死人にしか見えなかったという。
「朝よりはマシだけど、まだ全身がひりひりするぜ・・・くそ、あのSめ。」
「なら、お前はさしずめ「M」か?それともそういうプレイでもしてたのか」
「誰がマゾヒストだよ、主従関係じゃないぞ。大体翠泉とは良くつるんでるからって色々言ってくる奴が居るけど、俺は翠泉みたいなのよりはもっとボインな-」
「誰がボインじゃ無いって?」
ソードが加害者に対する愚痴をだらだら垂れ流そうとした瞬間、その背後から当の加害者が声をかけてくる。
「い、や・・・なんでも、無いですよ?」
「そう?ならいいんだけど、女性を胸で判断するのはいただけないわね」
トレイを持って現れた翠泉は、そう言いながらソードらのテーブルに着く。
「聞こえてたんじゃないか・・・まぁお前はそれ以外も・・・」
何か言おうとしてソードは止める。また逆鱗に触れたら敵わないと思ったのだろう。
シソという香草を挟んだオルアカロールがメインのニューデイズセットCを食べている翠泉にもそれは聞こえていたが、あえて何も言わずオルアカロールを口に運ぶ。
「ところで、なんでわざわざセントラルテーブルまで?本部からなら3Fにレストラン街があるのに」
ひとしきり食べ終わったコウセイが、おかわり自由のグリーン・ティーの飲みながら翠泉に尋ねる。
先に食べ終わったのもあるが、ソードに会話をさせるとまた碌なことにならないと踏んで先手を打ったのだ。
混雑することが分かりきったセントラルテーブルにわざわざ降りてくるのなら、何か用事があるのかもしれない。
「そう、今日はあなた達に頼みがあって来たの。
どうせソードが報告書作るの面倒くさがって昼ご飯で釣ったんだろうと思ってここに来たの。私の昼食も込みでね」
「ソード、行動パターン読まれているぞ」
「そりゃ、翠泉が左遷される前にも何度か任せたことがあったからな」
「・・・お前、俺以外にもそんなことやってたのか」
「だから分かってるのよ、この辺りにいるって。
それで頼みっていうのはね・・・」
そういって翠泉は箸を置き、ウーロン・ティーを飲みながら「頼み」の内容を話し出した。
「三日後に、モトゥブで大規模な摘発やるの、知ってるでしょ?」
「あぁ、今朝通達が来ていたな。大規模な違法薬物の摘発だとか」
「事務のイヤーな上司がね、機動警備部に戻る手続きはするけど、条件があるって言い出してね・・・
「モトゥブでの摘発に参加して、ローグスを10人以上確保しろ~」なんて言うのよ。
機動警備部に戻るんだから、実力が無いとなっていうのが理由らしいけど、絶対ただの嫌がらせよ」
「なるほど。
しかしその上司は、その条件どおりになった場合、翠泉が事務に残ることは分かっているんだろうか」
「そこまで頭回ってないわよ。それで、頼みなんだけど、私とチーム組んで欲しいの。
実戦は久しぶりだし、どうせ組むなら知った人がいいしね」
なるほど、鞭でソードをビシバシ打つことと実戦の能力とは別物だということか。
実に真っ当な話だとコウセイは思う。
彼はその頼みを受けるつもりでいたが、つい半日前に鞭で打たれた相棒はどう言い出すか・・・
「俺は御免だね。一人でがんばれよ」
やはりか・・・コウセイは予想通りの回答だな、と思っていた。
同期の頼みとはいえ、ぼろ雑巾にされた直後では、さすがにまだ恨み覚めやらぬということらしい。
「あら、そういえば知ってた?今回はかなり大規模なミッションだから、三人一組のチームで参加するように、とも通達されてるのよ」
三人一組・・・この言葉でソードは凍りついた。
ガーディアンズは、基本二人ないし三人のチームで行動するため、ソードとコウセイはもう一人パートナーを見つける必要がある。
知り合いのガーディアンズがいないわけではないが、彼らは既に各々のチームとして活動しているため、こちらの都合で一人引き抜くわけにもいかない。
「・・・食べないの?スパイシア」
「・・・辛くて口がしみるんだよ」
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第3話 モトゥブの深遠(前編)
「くたばれガーディアンズ!」
モトゥブ山岳部に無数に点在する坑道跡、その通路の影から年端も行かぬビーストの少年が飛び出してくる。
つい先程坑道内を見回っていた4人組のローグスを倒した所だったが、影に潜んで背後から奇襲するタイミングを一人伺っていたようだ。
少年は手にした剣を腰溜めに構え、狙いをソード一人に定めて突撃してくる。
玉砕必死の攻撃だが、一人でも道連れに出来れば良いという狙いなのか、その顔には迷いが無い。
気づくのがわずかに遅れれば、ソードの標本が出来るところだったが、周囲を警戒していたベテランガーディアンズには、いささかお粗末過ぎる攻撃だった。
振り向いたソードは、少年の必至の突きの軌道から素早く身を逸らし、すれ違い様に右手で相手の手首を掴み、同時に足を払う。
手首をガッチリ固定されていた少年は、自身が付けた勢いそのままに一回転し、背中をしたたかに打ち付け、呻き声を上げる。
と同時に左手に持っていた鎮圧用のスタン・ダガーを少年の胴体に押し当てる。一時的に全身を麻痺させる電磁パルスを叩き付けられ、少年即座に昏倒した。
「こちらA3チーム、ソード。ローグスと思しき少年を確保、回収願う。尚、腕に注射痕有り、薬物中毒の疑い強し。以上」
「また一人か。しかしいつ見ても見事な動きだな。『シュージュツ』だったか?」
「『ジュージュツ』だ。オペしてどうするんだよ。親父がガキの頃習ってたとかで、俺もガキの頃から仕込まれてたんだ。原生生物相手じゃ使えないが、ヒトが相手なら結構便利だ」
「なるほどね。
しかし気分が悪いな・・・こんな少年を薬で釣って、捨て駒同然に扱うとは」
気絶した少年の両腕をフォトンワッパで拘束し、サポートチームに座標を転送しつつコウセイはひとりごちる。
今回摘発の対象となった組織は、人目につかない廃鉱で麻薬を製造し、御しやすい未成年のヒトを中心に薬を売りさばく不逞の組織である。
ようやく製造工場であるこの廃鉱を突き止め、今回の摘発となった訳だが、向こうは重度の中毒になったヒトを薬で釣り、適当な武器を持たせてガーディアンズに特攻させていたのだ。
当然そのそれだけではなく、中毒者の群れの中にローグスが紛れ込んでおり、戦いにくいことこの上ない。向こうとしては、効果的にガーディアンズを攻撃でき、鬱陶しい重度の中毒者を始末できて一石二鳥というわけだ。
「だけど効果的だ。実際何人か、やむを得ず殺傷しちまったチームもあるらしい。逆にやられたりな。
そういえば翠泉はどこだ?あいつ自分から三人一組だって言っておいて」
と先の通路に目をやるのと、奥から悲痛な叫び声が聞こえてくるのはほぼ同時だった。
「・・・選択肢が4つあります
1.翠泉が敵にやられて悲鳴を上げている
2.翠泉が敵をやって、敵が悲鳴を上げている
3.単なるいたずら
4.宇宙人襲来」
「5.選択肢になってない。行くぞ」
ワッパをかけ終わったコウセイが奥へと走る。その後を、やる気をなくした顔をしたソードが追いかける。
先に進んですぐ左に曲がると、突き当たりの右側から明かりが漏れている。
どうやらこの坑道の奥は広間になっているらしく、照明の明かりが坑道に届いているようだ。
もしかすると麻薬の製造装置が置かれているかもしれない。
そう思ったコウセイはさらに加速し、剣を構えて広間と思しき部屋に突入する。
ソードも走り、万一を考えてスタン・ダガーから通常のツイン・ダガーに持ち替えて角を曲がる。
だが部屋に突入するや否や、二人はへなへなと脱力し、大きくため息をついた。
広間の中央では、翠泉が『お立ち台』に乗って鞭を振り回しており、その周囲には十数人のローグスがピクピクと体を小刻みに震わせながら倒れていたのだ。
中には鞭で打たれるうちに何かに目覚めてしまったらしく、倒れながら腰をくねらせる気持ち悪いローグスもいた。
「オーホッホッホ!下郎共は私の前に跪きなさい!後、ヤク中は危ないから大人しく保護されなさい!」
「待て待て待て待て、どういう女王様だお前は!
ウォッ、危ね!とりあえず鞭をしまえ!」
あまりの常識離れした状況から立ち直り、ソードは突っ込みを入れに行ったが、風を切る鞭に危うく打たれそうになる。
どうにか鞭をかいくぐり、テンションが最高潮に達して頬を赤らめている翠泉の手を掴み、無理やり鞭を止めさせる。
「何よ、せっかくいいところだったのに。どうせならワッパ架けて来なさいよ」
「1年ぶりなんで鈍ってないかと心配した俺がバカだったよ・・・」
呆れ顔のまま、ソードは手を離し、倒れたローグスにワッパを架けに行く。
コウセイは壁際に避難していた中毒者と思しきヒト達のほうにワッパを架けて、保護される旨説明している。
無難な役に逃げやがった・・・
こういうときの自分の余計な行動力を恨みつつ、ソードはサポートに連絡を入れつつ倒れたローグスにワッパを架けていく。
「ほら、さっさとお縄に付け。この部屋には機械類は無いみたいだが、ここは何の部屋なんだ?」
「チッ・・・単なる倉庫代わりだよ、クスリのな」
装置類の全く無い部屋に疑問を持ったソードがワッパを架けながら世間話でもするように聞く。
さすがのローグスも観念しているのか、あっさりとこの部屋の正体をばらす。
たしかに製造装置の類は無いが、空調設備だけは置かれているようだ。
よく見ると翠泉が鞭を振り回していた『お立ち台』はクスリが入っていると思しきコンテナである。
クスリの品質管理のための設備だろうとアタリをつけたソードは、ワッパをかけたローグスを引きずり、一箇所に纏める。
「痛ッ・・・なんなんだよあの女。
あぁ・・・でも、イィ、かも・・・」
「太陽系警察に引き渡されたらもっとキツイ責めが待ってるかもよ」
こいつも目覚めたのか・・・
覚醒してしまったローグスを、引きずって来たローグスを纏めたローグス山に放り込み、全てのローグスを合体させたソードは、さすがに疲労を感じたのか、壁際に腰掛ける。
丁度部屋の対角で、コウセイと翠泉はなにやら話し込んでいる。コウセイが戸惑い顔なのを見ても、どうやら翠泉のドS談義のようだ。時折「こういう攻め方を~」とか「社交的ほどM」等と僅かに聞こえてくる。
今回苦労ばかりしていると思っているソードは、内心ざまぁ見ろといった心境だった。
合成を失敗したばかりに鞭で打たれ、セントラルテーブルに放置されたせいで、しばらくは近所の笑いものになるのは確実である。
家族にいらぬ心配をかけ、宿舎で今回の摘発の情報を確認しそびれたせいで翠泉と組むハメになってしまった。
訓練生時代に彼女の部屋に遊びに行って朝までドS談義に付き合わされたのも一度や二度ではない。
報告書に関してはありがたいと思うが、俺の苦労を知れ、と、疲れた頭でぐだぐだと考えていた。
そして、自分の思考に浸かっていた為に、ソードは背後の壁にヒビが入っていることに気づかなかった。
最後まで気づくことは無かった。
ソードの真後ろの壁が爆ぜ、そこそこの大きさの石と土砂が、大量にソードに降り注ぐ。
そして不運にもひときわ大きな石がソードの後頭部を直撃し、声を上げるまもなく気を失った。
突然の出来事に、コウセイと翠泉は即座に反応し、銃を構えて崩れた壁を見据える。
敵の襲来か、はたまた坑道自体が危ういのか・・・気を抜いて歓談しているようでも、そこはガーディアンズ。完全に気を抜いていた訳ではなかったようだ。
ドS談義に戸惑っていたのはさすがに本当だろうが。
しかしその壁の向こうからは敵が出てくるどころか、なにやら声が聞こえてくる。
「あっれー?俺の勘が正しければこの壁を隔てたところに逃げたと思ったんだけどなー」
「また当てずっぽうの勘頼りか。罰としてケツを出せ」
「これで何回目よ・・・死ねばいいのに」
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次回!
突如壁を破壊して現れた3人!彼らは一体何者!?
組織の回し者か、はたまたただの旅行者か。埋まったソードの行く末は・・・待て、後編!
次回予告風に言ってみた。
2話の時点では実は翠泉本人にキャラ出演の了承取ってなかったんだけど、快く、女王様キャラとしての使用許可を頂いた。
多謝多謝
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生粋のニューマンスキー・ソードのプレイ日記とか生日記とか小説とかつらつら乗っけてます(`・ω・´)