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前後編のつもりが、思ったより長くなっちゃったので中編ということで、ごめんなさいだぜ。
いつものように本編は↓へ
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ソードを押しつぶした、直前まで壁だった穴の向こうから聞こえてくる声は、銃を向けたコウセイと翠泉に気づいた様子もなく近づいてくる・・・
そして先頭を歩いていたハチガネを着けたヒューマンが、ソードの埋まるがれきの頂上に立つ。
「ところで、ここは何処だ?見たところ倉庫か何かのようだが」
「知らねーよ。それより早くしないと逃げられちまうぜ」
「誰のせいだと。ちょっと待って、今マップから割り出すから・・・あら?」
とそこで、端末からマップデータを開こうとしたニューマンの女性がようやくこちらの存在に気づいたらしく、銃を構えるコウセイと翠泉を見てぽかんとしている。
女性が気づいた後に、残りの男二人もようやく気づいたようで、同じようにぽかんとした表情である。
「えーっと・・・こんにちは?」
「なんだよその挨拶は。とりあえず、あんたら何者だ?見たところガーディアンズみたいだけど。
とりあえず、銃を下ろしちゃくれないかな?」
「下ろしてあげてもいいけど、一つ条件があるわ」
「条件とは?内容いかんによっては・・・」
翠泉の言葉に、今まで後方で静かに場を伺っていた大型の白いキャストが前に踏み出し、鋭い視線を向ける。
「あなた達の足元に埋まってる緑色のを引っ張り出して頂戴」
緑色のは、自分の背中の上で起こっている騒動に気付くことなく気を失ったままであった・・・
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第4話・モトゥブの深遠(中編)
「いってぇ・・・俺最近痛い目にあってばっかりだな」
「あら、良かったじゃない。嬉しそうよ、ソード」
「ふざけろ」
「なんだあんた、そういう趣味なのか。それならそんなに急いで掘り起こさなくても──ウォッ!」
突然の闖入者の手によって埋められたソードは、その闖入者の手によって助け出されていた。
翠泉にレスタで治療してもらいつつもからかわれ、その原因にも便乗されたソードは怒り心頭で、加害者に抜き打ちでセイバーを振るう。
だがこれはあっさりと避けられ、虚しく空を切る。
「落ち着けソード。ひとまず、何者かだけでも分かっておかないことには。
俺はコウセイ。Aランクのガーディアンズだ。下敷きになってたソード、そしてこちらの翠泉も同じくだ。今回の摘発にチームで参加している」
「おっと、そういえば自己紹介がまだだったな。
俺はアビューズ・クレセント。AAランクのガーディアンズだ。こっちの白いのは肉ってんだ」
「に、肉・・・?」
「変わった名前だろ?」
「いや、変わった名前というよりは・・・」
「誰が変てこなミート君だと?アビューズ、俺はこんなにお前を思っているというのに名前で人を馬鹿にするのか。罰としてケツを出せ」
コウセイが答えに窮している間に、肉はなにやら不思議な思考回路で一気にまくし立て、アビューズににじり寄る。
「ケツを出せ、さぁさぁさぁ!」
「嫌じゃボケェ!」
肉は腕を大きく開き、アビューズを抱きしめようと飛び掛る。
アビューズはそれを回避し、肉が着地から再び立ち上がる前にダッシュで逃げ出す。
立ち上がった肉もアビューズを追いかけ、突如として男二人の追いかけっこが始まる。
「待ってよダーリン」
「誰がダーリンじゃ!少年少女に悪影響を与えたらどうするつもりだこらぁ!」
いきなりの珍騒動に、広間の隅でブルブル震えていた中毒者の子供たちも、一体何なんだコイツら、といった風に唖然とした表情である。
同じく唖然としているコウセイの横に、自己紹介をしそびれた女性が歩み寄る。
「自己紹介が遅れたわね。しゃちよ」
「はぁ、よろしくお願いします・・・
あの、しゃちさん・・・彼らはいつもあぁなのですか?」
「そうよ。仲が良いのはいいんだけど、所構わずあぁやってじゃれ合っちゃってね・・・死ねばいいのに」
最後の言葉は余りに小さく、ひとり言のようだったが、コウセイの耳に僅かに聞こえてくる。
「え?!・・・何か言いましたか?」
「いいえ、何も」
動揺したコウセイに対して、しゃちは爽やかな笑顔で応える。コウセイは何も聞こえなかったのだと思うことにし、まだ追いかけっこを続ける二人を呼び止める。
「ところでアビューズ、本当なのですか?ここの組織の首領を見つけたって」
コウセイに呼び止められ、追いかけっこを続けているアビューズはようやく停止する。
それを見て肉もそれ以上追うことはせず、ピタリと走りを止める。
あまりにあっさり停止したことから、実はもう二人とも止めるきっかけが欲しかったのだろう。
「あぁ、間違いないぜ。俺が空けた壁の向こう。あそこにでかい装置があってな。
その装置の脇から何かを運び出そうとしてたんだ。
とっ捕まえようとしたんだが、ザコけし掛けられてな、あしらってる内に逃げられちまって」
「装置の大きさと何かを運び出そうとした所から見て、おそらく持ち出せるだけのクスリを持って逃げようとしていたのだろう。
アビューズが先回りしようと言い出して壁をぶち抜いたのだが・・・」
「外れた挙句、俺を生き埋めにしちまったってわけか。
で、その首領(ドン)にも逃げられちまって、どうするんだよ。奴の確保は最優先指令だった筈だぞ」
「まぁ落ち着いて。あの部屋の真横のここに居ないってことは、きっと隠し通路でもあったのよ。
でもこの坑道、入り口は一箇所しか無かったから、今ならまだ追いつけるかも知れないわ」
その時だった。この部屋の外から声が聞こえてきたのは
「半分正解だ。入り口が一箇所だからといって、出口が一つだけとは限らぬ」
相談中に突如響いたその声に、6人はハッとし、部屋の入り口を振り向く。
そこには一人のヒューマンが立っていた。
男は悠然と部屋足を踏み入れ、腰に備えたナノトランサーから剣を抜き、構えることなく歩を進める。
近くに敵は居ないと油断していたとはいえ、声が聞こえてくるまで、人の気配を全く感じなかった・・・
強い・・・
今までの奴とは桁違いの強さであると全員が感じ、ソードが双小剣、コウセイがダブルセイバー、肉が両手に小銃、アビューズがアックス、しゃちが長杖を取り出す。
そして翠泉が鞭を構え、その場で鞭を振るって威嚇する。
「あなた何者?っていうのは愚問よね。ドンのために退路を確保しようっての?」
「それは外れだ。ドンは大変ご立腹でな。生意気なガーディアンズを一人でも多く仕留めろとのお達しだ」
言って、男は抜いた剣を地面に突き立てる。
その様は、どう見ても杖を突いてくつろいでいるだけである。
-侮られている-
そう思った翠泉は瞬時に飛び出し、鞭を振り上げる。
鞭にとって絶好の距離。セイバーでは絶対に届かない距離だ。
それを追ってソードが飛び出す。
翠泉は、鞭を振り下ろす瞬間、時間がゆっくりと流れる感覚に捉われていた。
男は、剣が届かない距離で杖を突いているだけだ。
だが、このスローな時間間隔の中、翠泉は恐るべき事実に気付いた。
男は、杖を突いているのではない。
『男は、既に、構えている』
「翠泉ッ!!」
自分の名を呼ばれた瞬間、翠泉は自分の前にソードが立っている事に気付いた。
そして、緑色のフォトンの柱が下から上に向かって立ち上るのが一瞬だけ見えた気がした。
同時にソードの肩から、突如として赤い柱が立ち上る。
血だ・・・
そう気付いた時には、翠泉は倒れてきたソードを支えきれずに一緒に倒れ込んでいた。
「ソード!」
「貴様ァ!」
近づくのは危険と感じたコウセイが咄嗟に双小銃に持ち替え、地上掃射でけん制しながらソードに駆け寄る。
男はばら撒かれたフォトン弾を後ろに飛んで回避し、ふむ、とひとりごちる。
「仕留めそこなったか・・・後は任せたぞ」
後ろに飛んだ男は、アビューズが追って来るにも関わらず、彼に背を向け、入り口へ歩き出す。
そして入り口へと差し掛かった時、男と入れ違いに二人のビーストが入ってくる。
「お前たちの相手はこの二人だ。私の秘剣を受けて両断されなかったのは褒めてやるが、そいつらに殺されて死ね」
「待ちやがれっ!」
だが、追うアビューズの前に立ち塞がる二人のビーストが、それぞれ赤い光、黄色い光を放ちだす。
アビューズが咄嗟に塞いだ目を開いたとき、
「おいおい・・・冗談キツイぜ」
巨大な獣人・・・ナノブラストに強化、巨大化したビースト二人が立っていた・・・
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ソードの元へ駆け寄ったコウセイは、まずソードを抱え上げて、下敷きになっていた翠泉を助け出す。
「ク・・ハァッ、痛ゥ・・・いつ、斬られた・・・グ」
「ソード!クソッ、血が止まらない。
翠泉!早くレスタを!」
だが翠泉は、突然の出来事にまだ意識が追いついていないようで、呆けた表情で座り込んでいる。
「翠泉、レスタを!早くしないとソードが死んでしまう!」
コウセイが呼びかけるが、翠泉はまだ呆けたままで、目がどこかに泳いでしまっている。
その翠泉が、唐突に前のめりに倒れこむ。
後頭部を後ろから殴られたのだ。
翠泉の後ろには、長杖を振りぬいた姿勢のしゃちが立っていた。
突っ伏した翠泉が、むっくりと起き上がり、しゃちを睨み、怒り出す。
「何するのよ!」
「シャキっとしなさいよ。私はアビューズと肉の援護にいくから、ソード君に治療は任せるわよ。ひとまず出血を止めないと」
それだけ言って、しゃちは肉とアビューズの方へと駆け出して行く。
数の上では有利。だがナノブラストしたビーストの戦闘力は生身のガーディアンズでは到底太刀打ちできるものではない。
アビューズが前衛に立ち、肉がその後ろで銃を構える。
二人に追いついたしゃちが杖にフォトンを集め、いつでもテクニックを放てるよう臨戦態勢に入る。
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予想より長くなってしまった(;´Д`)
ソード真っ二つだったりアビューズと肉はラブラブだったりコウセイ影薄かったり、次回で本格的な戦闘に突入かな。
続きはがんばって早めに上げるぜ
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生粋のニューマンスキー・ソードのプレイ日記とか生日記とか小説とかつらつら乗っけてます(`・ω・´)